「問題」と「課題」の違い
プレゼンでは、何か問題提起を行い、そのことについて何か解決策を提言することが多いですね。
そうすると、「問題は何か?」ということと「何に取り組まなければならないか?」と
いうことを明確に分けて話をする必要があります。
このため、私は、この15年来、「問題」と「課題」の区別を以下のように定義して、
指導してきています。
「問題表現」とは、何か問題があることを指摘することで、
「課題表現」とは、そのことが解決・実現されなければならないことを指す
ですから、「コストが高い」とか「モノの値段が上がっている」、「若い人の定着率が引い」等は
みな問題表現です。
これに対して、「コスト削減に取り組まなければならない」とか、「仕入れ価格アップを吸収しな
ければならない」とか「若い人の定着率を高める必要がある」等は課題表現です。
比較的簡単な区別だと思いますが、このように教えても、「○○のコストが高いことが課題」等と
書いてくる受講者が絶えません。
確かに辞書を引いても、課題:問題のこと と意味説明が書いてあったりするので、
問題と課題の区別が付いていない使い方が行われているのも一因と思いますが、
マスコミの報道などで、「インフラ復旧が遅れていることが課題です」等の用法が頻繁に
行われるので、その影響が大きいのではないかと思います。
マスコミで、そのような使われ方が行われる理由は2つあるのではないかと思っています。
(1)「問題がある」と言うと角が立つので、婉曲な言い方として「課題がある」と言っている
(2)「取り組まなければならないが、まだ進んでいない」という課題認識的に捉えた事象なので、
「課題がある」
というものです。
何事も、物事をオブラートに包んで、曖昧にしておきたい日本文化の表れかもしれません。
一般に、問題解決法では、現状の問題点から出発して、その原因分析、それに対する課題設定、
課題解決策の立案、施策の具体化と評価・選定、実行計画と続いていくので、問題と課題を
ゴチャにしてしまうと、話しがこんがらがってしまいます。
ですので、ふだんから、「問題」と「課題」を区別して議論できるようにしたいものですね。