経営計画を作る効果は?
長年、中計策定をお手伝いしてきましたが、
今年になって、経営計画を作ることに関して、いくつかの興味深いエピソードに出会いました。
1つは、お客様の会社が買収したオーナー経営の会社の話です。
その会社は、先代が作った会社で、2代目になって、社長があまり事業に身が入らず、
外から雇ったナンバー2に任せておいて、ただ儲けたお金を一族用に抜くことばかり
考えていたようです。
そして、後で分かったことですが、予算もまともに作っていない会社だったとのことで、
先代の頃は、先代のリーダーシップで業績も伸ばしたのですが、
2代目になって以降、リーダーシップが無くなり、伸びなくなって、
環境が厳しくなってきた中で、業績が悪化し、会社を売ることになってしまった、
ということでした。
もう1つの会社は、大企業の子会社の話です。
その会社は、2年前に初めて中期経営計画を作り、運用してきたのですが、
中計策定前と比べると、中計策定後の方が、業績が伸びているとのことでした。
今回、その会社から新中計のご相談を頂いているのですが、
前回は、積み上げ型で作ってしまったので、今回はぜひバックキャスティング型で
作ってみたいということです。
この2つのエピソードから分かることは、
経営計画は、作らないより作った方がいいということと、
単年度予算だけ作るより、中期経営計画を作って運用した方がいいということです。
そしてさらに、その中期経営計画も積み上げ型のフォーキャスティング型で作るよりも、
バックキャスティング型で作った方が、業績を伸ばしやすいということですね。
これを絵にすると、以下のようになります。
おそらく背景には、目標を持つか持たないか、そして、どのように目標を設定するか
ということが関係していると思います。
予算を作らないと、目標も持たずその日暮らしになってしまいます。
ただ、予算は、予測の割合の方が高いので、目標が低くなりがちです。
それに比べ、中期経営計画は、仮にフォーキャスティング型で作っても、
予算よりも高い目標を立てるので、業績が上がりやすくなります。
さらに、目標設定の際に、フォーキャスティング型で立てるよりも、
バックキャスティング型で立てる方が、目標が高くなるので、
結果として、その目標を達成しようとして、業績が上がるわけです。