日本人はなぜ交渉が苦手か?
オンラインで「語り方」講座をやっていて、「共同を促す」という回があり、
その中で、話題が「交渉」の話になりました。
そういえば、一時期、日本企業の中国進出ラッシュがあった頃、よく中国人から騙されたとか、
交渉で不利な条件を飲まされたという話を聞きました。
それは、中国だけに限った話ではなく、欧米諸国との交渉においても言えることで、
あまり交渉上手な日本人の人の話は聞いたことがありません。
一般に、日本人は、交渉事が苦手な人が多いです。
なぜでしょうか?
それは、日本人が慣れている対人関係では、下記に示すように、交渉するということが少ない、
求められないからではないかと思います。
日本語の用法に見られるように、私たちが会話する際、上下関係をはっきりして、
尊敬語や謙譲語のような敬語を使って話をします。
どっちが上か下か分かりにくい場合は、とりあえず丁寧語を使いますが、
よそよそしくて、話がしずらくなります。
一方、交渉というのは、基本的に両者対等な関係を前提に駆け引きを行うものなので、
日本人が慣れていない関係性の下でのやり取りということで、
場慣れしていない、経験が少ない、そういう関係では話をしずらいということで、
うまく行かないことが多いのではないかと思います。
人によっては、「掛け値なし」という感じで、交渉を受け付けない、交渉が嫌いな
人もいます。
戦後の日米関係は、基本的に戦争に勝った米国が上で、負けた日本が下という上下関係で
来ています。
ですから、日米交渉は、基本的に米国の要求を呑むというような形で決着することが多いですね。
一方、日本といっても、多少地域差はあるようで、関東と関西で交渉事に対する姿勢に違いがみられます。
学生時代に、東京に出て来て、関西出身の友人が、百貨店で「これ、なんぼ負かるんねん」
と値引き交渉を始めたのに驚いたことがありますが、
関西の人たちは、ベースが町人文化・商人文化なので、交渉事が好きなのかもしれません。
向こうとこちらが売り手と買い手という関係は、基本的には対等ですから、
交渉の余地も生まれます。
また、仮に交渉が決裂しても、他に買い手がいるのであれば、問題はないわけです。
「そんな条件では売りたくない」で済むわけです。
一方、東京の人たちは、江戸幕府が東京にあったこともあり、武家文化が支配的で、
どちらが格が上か下かをはっきりさせ、下が上に従うという文化ですから、
交渉事が嫌い、苦手なのかもしれませんね。
ただ、グローバル経済になってきて、日本人以外とも交渉するシチュエーションは増えてきています
ので、交渉は苦手、嫌いでは済まされないので、基本的な交渉力は身に着けておきたいですね。
さて、それで、メルマガにあった値引き交渉の件ですが、
熟慮した上で、「値引きするなら、かくかくしかじかで」、と条件を付けて出したところ、
間に立った人が、両者の関係が悪化しないようにとの配慮と説得もあったのでしょう、
結局のところ、値引不要ということで「交渉」が決着しました。
交渉術を学んでおいて良かったです。