燃え尽きないように注意して!
先週、兼任講師をしている立教大学の社会人向け大学院 LDCの謝恩会に
呼ばれて、参加してきました。
LDCというのは、経営学専攻リーダーシップ開発コースの略で、いわゆるMBA
コースの一つなのですが、他の大学と違い、リーダーシップ・人材開発・組織
開発にフォーカスした、言わば人事系のMBAです。
数年前に、わざわざ東大の中原淳先生を招聘して始めたユニークな大学院です。
https://ldc.rikkyo.ac.jp/
最近話題の人的資本経営も学べます。
私は2年間の講座のうち、1年目の経営学概論を担当しただけなのですが、
卒業予定者が企画する謝恩会に呼んでくれるということでしたので、
喜んで参加してきました。
定員が20名と小規模ですが、濃密な学びを提供しているようで、主に大企業の
人事部門の方々が参加しています。
皆さん、もうすぐ卒業とのことで満面の笑顔で出迎えてくれましたが、
2名ほど、よく覚えている人の顔が見当たりませんでした。
1人は、1年次に早々と退学、2人目は2年時に体調不良で休学となった
とのことでした。
せっかくの学びの機会なのに、二人ともどうしてしまったのでしょうか?
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1人目の受講者は、大手建設会社に勤めている女性の方でした。
コロナ禍だったので、オンラインでしかお会いしたことが無かったのですが、
グループ討議などを引っ張っている人でした。
また、私の講義中に、メンバー向けに盛んにチャットを入れていて、
参加度合の高い人でした。
私の講座では、もともとの担当教授から、「経営学の基礎を教えながら、
企業の中期経営計画を作らせてみてください」との依頼があったので、
拙著をテキストに毎回グループごとに課題を出していました。
ところが、その学期が終わるころになって、「とても続けられないので、退学します」
と言って突如退学してしまったそうです。
ですので、最後の報告会は、彼女のいたグループは、1名少ないグループで発表
となったのでした。
そのことが気になっていたので、昨日、同じグループに居た人に、聞いてみたら、
「あぁ、彼女ねぇ。僕たち、グループで議論が白熱して、夜中の3時までオンラインで
やっていたことがあったんですよ。
そしたら、彼女、『とてもやってられない』と言って大学院自体を辞めちゃったんです。」
とのことでした。
これは初耳でした。
こちらはそんなにエンドレスでやれと言ったことはないので、
ほどほどにしておいてもらえば良かったのですが、
たぶん、生真面目な人だったのでしょうね、最初の学期で、この状態で、
これが続くのだったら、とても最後まではたどり着けないと思ったのでしょう。
突然、退学と言うことになってしまいました。
退学理由は少し聞いていたのですが、夜中の3時までオンラインで議論していたというのは
初めて聞いたので、驚きました。
オンラインは、離れていても討議ができるメリットはありますが、逆に、今回のように
キリが無くなってしまうというデメリットがありますね。
以前のIT系の会社で、社長が、「自分がコミットできる条件や範囲があれば、
それを事前にメンバーに伝えておいた方がいい」
と言われたことを思い出しました。
彼女も、そうすれば良かったんじゃないですかね。
別にフルコミットが条件ではないと。
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2人目の受講者は、大手不動産会社に勤めている男性で、
こちらの方は、私の担当講座は、素晴らしいリーダーシップを発揮して、グループを
高みに引っ張って行って、とてもいいプレゼンをしてくれました。
私も期待していた人なのですが、今回聞いたら、途中で病気をして、休学になって
しまったとのことでした。
この人も、やる気に満ちた真面目なタイプの人で、センスも良かったので、
無事修了することが出来ずに残念に思いました。
いずれの人にも共通するのは、真面目で、責任感が強く、積極的にリーダーシップを
発揮するタイプの人ということでした。
その他の人がそうでなかったという訳ではありませんが、
その2人に共通するのは、そういうポイントでした。
思うに、真面目で責任感の強い人は、自分でここまでやると決めたら、
途中で妥協できないんでしょうね。
なので、ついついやりすぎる。
そして、個人差はありますが、そのやり過ぎが、いつか身体に出て、
不調を来す、ということではないでしょうか。
なので、物事に真剣に取り組むことはいいことなのですが、
過度に入れ込み過ぎないで、自分の身体のこと、限界を考えながら、
少しセーブしながら、やって行った方がいいんじゃないでしょうか?
私のシカゴ大学時代の同級生でもそういう人がいました。
優秀な人だったのですが、帰国後、頑張りすぎて燃え尽きてしまったようです。
その結果、懇親会があって参加しても、覇気が無くなり、
お酒にも手を付けなくなりました。
真面目な人、頑張り屋さんは、燃え尽き症候群に注意です。
大人になったら、自分自身の心と体のリミッターを設定しておくといいんじゃないでしょうか。
国内の自動車では、以前時速180キロ以上はスピードを出せないようにリミッターが
付いていました。
これ以上はやらない、考えない、思い悩まないというリミッターです。