日本的組織に求めらる「三忠」
日本的な組織では、基本的に「三忠」が求められます。
三忠というのは、三つの忠誠心ということで、
(1)組織・会社への忠誠心
(2)上司への忠誠心
(3)職務・仕事への忠誠心
を指します。
(1)組織・会社への忠誠心というのは、
まずは、会社を辞めないで、長く務めるということ、
また、会社のためを思って仕事をし、会社を裏切らないことです。
なので、中途で退職するとなると、少し白い目で見られます。
また、中途入社の人に対しては、「いつか辞めるんじゃないか」という
懐疑心が働きます。
(2)上司への忠誠心とは、
上司の指示・意向に従うということで、上司を裏切らないことです。
よく言われる「忖度(そんたく)」というのは、ここから生まれます。
上司が明言しなくても、「たぶんこういうことをやった方がいいのだろう」という
おもんぱかりで、行動するわけです。
なぜ、そうするかというと、その方が上司からの評価がいいからです。
「ういやつ」と思われたいからです。
基本的に上司は、人事評価などの人事権を握っていますから、
上司のいうことを聞こうとするわけです。
仮に、上司の言うことに逆らっているとどうなるかというと、
人事評価を下げられたり、異動させられたりします。
「彼は、この仕事に向いていない」等というもっともそうな理由を付けて。
(3)職務・仕事への忠誠心とは、
仕事を一生懸命やるということで、必ずしも仕事が良くできることを
指してはいません。
ですから、仕事が手早くできなくて、残業・休出が多い人は、残業代などの給与が
増えるだけでなく、上司から、「彼は頑張っている」と評価されて、
人事評価も高くなるのです。
逆に、仕事ができて早く終わり、先に帰ってしまう部下に対しては、
「なんだあいつ、早く終わったんなら、手伝えよ」的な
言われ方をして、良く思われません。
この三忠という言葉は、私が作ったものですが、
機会があるごとにいろいろな人に話していますが、皆さん、「その通りだ」と
言ってくれますので、私だけの思い込みではないことがお分かりいただけると思います。
さて、その「三忠」ですが、高度成長期や80年代はいい方に働いたのですが、
今の時代、「働き方改革」の阻害要因になっています。
「働き方改革」は、基本的に生産性を上げようということなので、
生産性を上げずにただ頑張るのは、良くないわけです。
ただ、この「三忠」は、日本人が持つ文化であるだけに、
すぐには変えられない、なかなかやっかいなものなのです。