日本製鉄が発揮した「交渉力」

日本製鉄によるUSスチールの買収案件は、米国の大統領選の人気取りのネタ
にされて、ほぼ目が無くなっていました

私も、「大統領選とぶつかるなんて、タイミングの見極めが悪いなぁ」と思って
いたのですが、ここ数日のニュースでご存じのように、話が復活してきて、
トランプ大統領が認めそうな勢いです。

では、日本製鉄は、どのような努力をしてこの交渉を成り立つようにしてきたの
でしょうか?

私は、背景に、「ハーバード流交渉術」を活用しているからではないかと推測し
ています。

アメリカのトランプ大統領がよく使う言葉は、Deal(取引)です。
おそらく本業の不動産業でよくDealを行ってきたからなのでしょう。
彼の人生はこれまでのDealの賜物なのかもしれません。

こういった姿勢は、日本人の我々から見ると、とても品が悪く、超大国の
大統領が使うべきではない言葉のように感じます。

ただ、そうした人間性を言っていても国際的な交渉事は進みません。

そうした異文化・異国間の交渉について研究を行ってきたのが、ハーバード大学で
なんと「交渉学研究所」というところがあります。
その研究所の成果をまとめた本も出されていて、「ハーバード流交渉術」として
しられています。

そのエッセンスを下記にまとめてみましたので、ご覧ください。
そこでは、3つのタイプの交渉術が対比され、国際的に通用するハーバード流は、一番右の
「原則立脚型」であることが分かります。

それは、立場によって駆け引きを行うのではなく、お互いの利害関係に注目して、双方の利害が
成り立つように交渉を行うのです。

これを見ると、米国=トランプ政権の利害と日本製鉄の利害の一致する点を見出すような条件提示、
交渉が行われたことがよく分かります。

まだUSW(労組)等の問題が残っていますが、上の方で合意できれば、後は下の説得ということに
なりますから、概ね前に進めるのではないかと考えられます。

日本製鉄は日本の会社ですが、こういうところにグローバルに通用する交渉術を持ってきた
ところを見ると、これまで数十年に及ぶ対外交渉の経験が生かされているのかもしれませんね。

Follow me!