上位層ほど求められる概念化能力

半年ほど掛けて取り組んでいるプログラムで、2月には経営層向けにプレゼンが
あるのですが、提言の取りまとめに向けて、佳境に入ってきています。

今回対象にしているのは、プライム上場企業の部長層ですが、ふだんの業務とは
だいぶ違うことに取り組んでいるので、なかなか難渋しています。

先週の(金)も終日ワークショップを実施してきたのですが、あるグループの
提言が、もやもやしていてなかなかはっきりしません。

前回、「より具体的な提言を」と宿題を出しておいたので、具体的なものが出て
来たのは良かったのですが、「ところで、あなた方が提案したいことは要するに
何?」と聞いてみたら、「むにゃむにゃ」していてよく分かりません。
自分達でもうまく言えないようでした。

仕方がないので、私なりの解釈を伝えてみたら、
ハッとした顔になって、
言語化してくれて、ありがとうございます」、と感謝されました。
どういうことでしょうか?

このグループが提案したかったことというのは、
ふだんの業務では、比較的大企業を対象に、かなりカスタマイズ化したサービスを提供しているのですが、
顧客層を広げ、売り上げアップに繋げるために、
少し下の中堅規模の企業を対象とするために、
半分定型化したサービスを開発し、比較的簡単なカスタマイズで導入可能な
新たなビジネスモデルを構築したい
ということでした。

私から、B2Bマーケティングのテキストの1ページを見せながら、
この真ん中のセグメントを狙おうということでしょう?
と水を向けたら、
「その通りです」
言語化して頂き、ありがとうございます
と感謝されました。

こういう解釈能力を、日本語では「概念化能力」英語では「コンセプチュアル・スキル」と
いいます。

相手は、上場企業の部長層ですから、本来は、この程度のコンセプチュアル・スキルは身に着けて
おいて欲しいものですが、ふだんとは異なる話になると、どうも苦手なようです。

下図は、経営学者のロバート・カッツが提唱したカッツ・モデルの説明図ですが、
職責が上位層に行くにしたがって、コンセプチュアル・スキルが重要になります。
つまり、自分が体験したことの無い業務やシチュエーションになっても、
それを概念的に理解でき、的確な判断・指示が出せなければならないわけです。

日本企業では、同じ会社・部門で、業務経験を中心に仕事をしていくので、
自身で経験したことがない業務やシチュエーションに遭遇した際に、咄嗟の判断が出来ない
マネージャーが多くいます。

私は、いろいろな業界・会社のコンサルを経験してきたので、
その分コンセプチュアル・スキルが磨かれてきたと思いますが、
一般企業のマネージャー層、特に上級マネージャー層の方々には、
いろいろな会社・部門・業務経験を積んで、コンセプチュアル・スキルを磨いてもらいたいですね。

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