成人発達理論とは?

昨年、関西の方のある研修コンテンツ提供会社の若手社長さんから、「ウチは、『成人発達理論』に
基づいてコンテンツ制作をしているので、ご協力をお願いします」と頼まれて、動画撮影に協力しました。

当時、初耳だったので、調べてみると、ここ数年で出て来た考え方のようで、例によって、米国、
それもハーバード大学の研究から生まれた理論とのことでした。

同大学のR.キーガン教授らによれば、「人は成人してからも知性や意識が発達し、生涯にわたって
成長し続けられる」という考え方で、その発達段階には5つの段階があるとのことです(下図参照)。

まず、成長には、知識やスキルを増やしていく水平的成長と人間的な器が大きくなる垂直的成長とが
あります。
日本の会社では、ローテーションや役職に応じて、この垂直的成長を期待されますよね。

そして、知性には3段階あり、
第1段階:環境順応型知性
まだ駆け出しの頃のレベルで、とにかく仕事を覚えよう、一人前になろうという段階かと思います。
異動などで新しい職場に行った際などは、一部この知性も必要になりますね。

第2段階:自己主導型知性
自分なりの考え方で仕事を進めて行ける段階ですね。
私も入社後数年経ったら、自分なりの考えを持って仕事を進められるようになりました。
ただ、ここで「頑固者」になってしまってはいけないですね。
次の段階の知性が必要になります。

第3段階:自己変容型知性
自分の価値・判断基準を確立しながらも、時代の流れや周りの意見などに柔軟に対応し、
必要に応じて自らの考えを修正できるというのが、この段階です。

自分に当てはめてみると、海外留学をさせてもらった頃から、他国、他社、他民族の人たちと
知り合い、考え方や意見を戦わせながら、協力して仕事を進めて行けるようになり、
その頃から、この段階になってきたかなぁと思えました。

成長におけつ5段階というのは、下図に示す通り、水平・垂直的成長を伴いながら、
知性の3段階を一つ一つ上に昇りながら、だんだんと上に上がっていきます。

大人は第2段階から始まりますが、確かに他人や部下を道具的な目で見たり、扱ったりする人が
いますよね。

私の研修・指導対象は、部長クラスとか役員クラスが多いので、第4段階や第5段階の人を対象と
することが多いわけですが、「タテ社会」の日本の組織では、第4段階の自己主導段階がまだ
しっかり出来ていない人が多かったりするのと、
本来は環境変化に対応して、考え方を変える等第5段階に行っていなければならないのに、
第4段階に留まっている人も多く見受けられます。

研修では、ふだん仕事=業務を行う意識から脱却して、「垂直的成長」を期待されて受けてもらう
ことが多いのですが、本人の意識が、水平的成長を志向しているだけだと、単に新しい言葉や考え方を
知ることが出来たかどうかで研修の評価を行う人が多くいますね。

このように「成人発達理論」を当てはめてみると、自分のこと、周りの人のこと、自分の仕事のこと
等について、適用して考えられることが多いことに気づかされます。

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