ウクライナ情勢に「孫子の兵法」を当てはめてみる
2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻、
当初のロシア側の2~3日でキーウ(キエフ)が陥落するとの楽観的な見通しに反して、
小国ウクライナの善戦が報じられ、ロシア軍はついに首都攻略を諦め、
ウクライナ東部ドネツク州等への戦力集中に切り替えざるを得なくなりました。
戦況については、皆さん毎日TVニュースなどでご覧になっているでしょうから、
今回は、「孫子の兵法」に当てはめて、両国の状況を分析してみたいと思います。
『孫子』は、紀元前5世紀ころ中国の斉国出身の孫武の作と言われ、
古今東西、戦争に、またビジネスにいろいろと参照されてきました。
『孫子』で述べられていることは、現代のビジネスにも通じるところがあるので、
日本でも広く読まれています。
その『孫子』の中で有名なのが、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」(謀攻篇) ですが、
それを実践するために、「五事七計」(下図)を行うべしとしています。
すなわち、戦争に勝つために、五事を整え、七つのことについて相対比較を行うということです。
その中で、「七計」について両国を対比してみたいと思います。
1.君主は、どちらが道徳的であるか?
→ウクライナのゼレンスキーの方ですよね。
2.将軍は、どちらがすぐれているか?
→これは外部からは分かりませんが、キーウ攻略が失敗したことを考えると、
ウクライナの将軍の方ではないでしょうか?
3.天の時、地の利は、どちらが得ているか?
→これは、北京オリンピック後を狙ったものですが、
寒い冬の間は、地面が凍りついていて、軍事侵攻がやりやすかったのですが、
春になり、氷が融けてくると、泥沼となる、道路以外は戦車が前に進めなくなります。
長引くほど攻める側に不利といえるのではないでしょうか?
4.法令は、どちらがよく守られているか?
→ロシア兵による残虐行為を見れば、明らかですね。
5.兵士は、どちらが強いか?
→これも外からは分かりにくいですが、ロシア兵は徴兵で若くて未経験な
兵士が多く、逃亡、投降者が多いと言われています。
これに対して、ウクライナの兵士は、米国・英国の軍事専門家による
戦術指導等を事前に受けていたと言われています。
対戦車砲であるジャベリン砲の攻撃を受けて、無残な姿となったロシアの戦車の
残骸を見ると、兵士と兵器がうまく連動していたことが伺われます。
6.将校は、どちらが熟練しているか?
→これも外からは分かりませんが、ロシア側の将校の多くが前線で亡くなった
と言われています。
ウクライナ側の被害は明らかではありません。
7.賞罰は、どちらが厳正であるか?
→これは、みなプーチンが怖くて、嘘ばかりついているところを見ると、
罰の方はロシア側が厳しいのではないでしょうか?
こうして「七計」に当てはめて、対比してみると、ウクライナの方が、
相対的に評価が高くなるのが分かりますね。
オフィス井口では、上記で触れた「孫子兵法」等、古今東西の古典も参考にしながら
ビジネス研修やワークショップを行っています。
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