「テーマ選定理由」で起こしやすい失敗
先日、去年の夏から始めているある企業の社内大学講座で、3月下旬の役員向け発表会に
向けてグループ別にWeb面談指導を行いました。
各グループとも提言骨子は固まってきているので、それを表現するプレゼン資料
について、ページ毎にアドバイスをしていきました。
その中でも、最初の関門として問題になったのが「テーマ選定理由」でした。
社内で提言や提案を行う場合、なるべく早く聴き手のツカミを取ることが重要で、
この「テーマ選定理由」でそのツカミが取れないと、最後までズッコケてしまう
ので、要注意です。
では、どんな落とし穴があるのでしょうか?
事例を紹介しながら解説していきましょう。
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1.提言内容とアンバランス
・あるグループは、自社の中期経営計画を引き合いに出して、「このままでは、中計の目標達成が
危ぶまれる。そのボトルネックになっているのが、情報共有だ!」というような出だしで話を
始めたのですが、提言内容が社内のナレッジマネジメントの話で、生成AI等を使って、社内の
情報共有が進むようにしましょう、というようなものでした。
・この場合、発表会で出されそうな疑問・質問事項として、「君たちの提言だけじゃ、ウチの中計の
目標達成なんて出来なさそうなんだけど、どうかね?」というものです。
・つまり、テーマ選定理由で大きく入り過ぎて、それに対して提言内容の範囲・影響度が狭いので、
テーマ選定理由と提言内容がアンバランスということなのです。
2.長々しい
・また、あるグループは、テーマ選定で紆余曲折があったので、その思考遍歴のようなことを
長々しく書き連ねていました。
・自分達がどのようにしてこのテーマにたどり着いたのかを言いたいのは分かりますが、何ページにも
及んでそれを書き連ねていたので、聴いている方が途中で嫌になってきてしまいました。
・やはりテーマ選定理由は、簡潔に、そして分かりやすくというのが大切ですね。
3.「想い」に疑問符が付く
・別のグループは、DX化をして働き方改革を実施したいというような趣旨のことを言っていたのですが、
それを行って実現したいのが、「定時に終わって、家族だんらんを楽しみたい」というような想いを
語っていました。
・個人個人の想いとしては分からなくもないのですが、「会社に金を使わせて、お前たちはただ楽を
したいのか」と言われそうで、疑問符が付きます。
・どうせなら、付加価値の低い定型業務を減らして、企画や開発、サービスアップ等の高付加価値業務
を行えるようにしたいというような趣旨のことを言った方が、上の方々には受け入れられやすいのでは
ないでしょうか?
等々、他にもいろいろと落とし穴がありますので、分かりやすくて納得性の高いテーマ選定理由に
できるよう気を付けたいものです。