オーナー経営と企業統治

先週、若い頃海外MBA留学していた同期の集まりがあり、シカゴ大学卒なので、
金融機関の人が多く、銀行から派遣された先のオーナー企業の話題で盛り上がり
ました

中には、海外投資での損失の責任を無理やり負わされて辞めさせられた話や、
オーナー家のやりたい放題の話など、ニュースやネットでも聞けない話題
いろいろと出てきました。

やはりリアルに会っての話は、他所では聞けないネタがいろいろとありますね。

また、皆さんも良くご存じのマスコミネタとしては、フジテレビのドンの話や
小林製薬の株主総会での話などもありますね。

90年代のバブル崩壊以降、日本的経営の負の側面を改めようと、CGいわゆる
コーポレートガバナンス改革が行われてきたのですが、今回は、その辺りに
ついて考察してみました。
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変容を求められる日本的経営」(下図参照)については、以前も触れたことがあると思いますが、
日本的経営の部分は、日本の文化から出てきているものなので、なかなか口で言っても変わりません。
それで、政府や監督機関がどう対処してきたかというと、法律(類)を定めて、その法律(類)に
従いなさいということでやってきました。

CG:コーポレートガバナンスは企業統治と訳しますが、もともとの出所は米国で、米国でも企業の
非倫理的な行動を取り締まる必要があるのではないかということから発生してきました。

日本も、バブル崩壊以降、日本的経営の負の側面が強く出るようになってきたので、
いろいろな法律(類)を定めて、これに従うようということでやってきました。

ただ、それらは、まずは株式公開企業からということで、公開企業を対象としたものが多く、
多くの公開企業では、いまだにオーナー経営色の強い会社が多く、
冒頭触れた銀行員の友達たちが行った企業は、非公開のオーナー企業だったわけです。

日本は、長寿の企業が世界一多い国として知られています。100年企業、200年企業はざらで、
中には1000年以上続いている会社・組織もあるわけです。

では、それらの会社がどうやって長生きしてきたかというと、創業者は別として、基本的には
代が進むにつれて番頭経営を行うことで続いてきました。

つまり、オーナーは君臨すれども統治せずで、基本的なマネジメントは番頭さんがオーナー家の
意向を尊重しながらやってきたということなのです。
三大財閥で有名な、三井・三菱・住友、皆同じです。
三大財閥の中では三菱が一番新しかったので、戦前まではオーナー経営でしたが、
戦後は、財閥解体もあり、だんだんそれが薄れて行きました。

それは、歴史を遡ると、天皇家しかり、幕府しかり、政治の世界も実業の世界もみな同じ形態で
続けられてきました。

そして、時々オーナー家に優秀な人が出たりすると、「親政」を行い、直接統治も行ってきました。

また、オーナーが威圧的な経営を行うと、下から不満が出て、一揆やストライキを起こして、
たまに政権が倒れることもありました。

こうした歴史を踏まえると、オーナー経営と株式公開企業とは相いれない側面があります。

なので、オーナー経営を続けたいのであれば、株式は非公開化した方がいいのでしょうね。

ただ、株式非公開企業と言っても、会社は社会の「公器」なので、非公開だからやりたい放題という
理不尽な経営というのは基本的には認められないということになります。
それは、ジャニーズを見ても分かりますよね。
(まあ、本人が死んでからしか改められないというのは、ひどすぎますけどね)

株式非公開企業といえども、社会道徳の許容する範囲で、善意の経営を行うことが望ましいと思います。

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