新しい経営指標ROICの使い方を知っていますか?

先週、毎年サポートしている立教大学のLDC(リーダーシッププログラム)の
経営学概論で、ROICの解説をしました。

LDCは、数年前にスタートした社会人大学院で、リーダーシップをメイン
に扱っているユニークなプログラムです。

人事系の受講者が多いので、経理・財務・戦略系は弱いので、基礎から学びます。

その中で、最近上場企業を中心に導入が進んでいるROICについて解説を行い、
対象となる企業について、試算もしてみるということを行ってみました。

ROICは、ROEやROA等と同様の資本効率を表す経営指標で、会社全体だけでなく、
事業別にも適用できるので、事業管理にも使うことができます。

今回は、そのROICについて、2回に分けて解説します。

まず、ROICの計算式についてです。

下記の図はROICツリーといって、ROICを因数分解したものです。

まずROICそのものの計算式は、税引き後の営業利益を投下資本で割ったものになります。
分子が損益計算書(P/L)の項目、分母が貸借対照表(B/S)の項目となります。
ROEやROAと同様に、このように分子に利益、分母にB/S項目が来る指標を資本効率を表す指標
といいます。

分子の税引き後の営業利益というのは、聞きなれない言葉かもしれませんが、
会社に残る利益ということで、税引き後を使います。
ただし、実税率は時々で変わってきますので、実際に使用する際は、みなし法人税率を使います。
東京都に本社を置く大企業の場合は、30.62%となります。

分母の投下資本は、運転資本+固定資産・投資その他または
有利子負債+株主資本(含む非支配株主持ち分)を使います。
どちらを使ってもほぼ同じ数値となります。

なお、運転資本は、(売上債権+在庫-支払債務) または
(流動資産(現金および現金等価物を除く)- 流動負債(有利子負債を除く))
となります。

勘定科目に慣れていない人には、分かりにくいかもしれませんが、バランスシートの項目をよく
見ながら使ってもらえればと思います。

こうしてROICを算出することができるのですが、こうした経営指標が使われるようになった背景
としては、かつては、売上や利益等の損益計算書の項目だけに注目が行きがちだったのですが、
日本の企業も成熟期となり、溜まって来た資産=バランスシートの項目に対してどの程度利益が
出せているのかということが問われるようになったことがあります。

ROEは以前から言われていましたが、分母が株主資本だけなので、事業に使用している資産全体に
対する収益性ということでROICが使われるようになったということがあります。

次回は、このROICをどのように見るのか、どのように経営管理で使って行くのかということについて
お話したいと思います。

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