組織でバックキャスト発想に取り組む難しさ

先週、関西方面のある団体に呼ばれて、中計の作り方に関する講演と企画担当者
の方々との意見交換会を行ってきました。

まず、驚いたのは、中計策定マニュアルの精緻さでした。この団体では、もう
過去何度も中計策定に取り組んでいて、かつ定期的に企画担当者も交代するので、
新任の担当者向けに、手取り足取り細部にまで行き届いた中計策定手順書が
作られていました。
一例を挙げると、社内アンケートの取り方やアンケート項目まで解説されている
のです。

そうした準備万端の団体に、なぜ私が呼ばれたかというと、最近は環境変化が
激しく、従来型のフォーキャスト思考(積み上げ型)では経営計画が成り立た
なくなっている中で、バックキャスト発想(逆引き型)が必要になっている
ということで、その辺りの話をしてもらいたいということだったのです。

それで一通り、講演が終わった後に、企画担当者の方々との意見交換会が開かれ
ました。

経験のある皆さんに水を向けてみると、「必要性は理解できるが、実際に
自組織内で展開するとなると難しい」「組織内で抵抗感がある」「個人で
取り組むのも難しいのに、積み上げ型に慣れきっている組織内では、なおさら
難易度が高い」等の意見が聞かれました。

厭戦ムードが漂う中で、一つの質問への回答をきっかけに、話が急展開
ました。

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参加者の一人が、「人を動かすにはどうしたいいですか?」という質問をしてきたので、
2つのアプローチがあることを紹介しました。
(1)将来に希望を持たせること
(2)現状に危機意識を持たせること

すると、別の参加者から、「ウチでは、昨年度から、(2)の危機感から、諮問委員会方式を
取り入れています」との話がありました。

どういうことかというと、経営陣が自組織の今後について強い危機感を持ったため、
自組織の重要課題について、特定のチームにその課題の解決策を諮問する方式を取り、
その諮問結果を受けて中期経営計画をまとめました、とのことでした。

これについて、私がすぐに、それはコッターの「組織変革の8ステップ」に沿ったやり方で、
とてもいいアプローチだと思います、と応えました。

私が居た日産自動車も、カルロスゴーンがやってきて、まさにこの組織変革の8ステップに
沿ったやり方で改革をやってみせたのでした。

その話から、その場の雰囲気がガラリと変わり、マニュアル通りではない、そういう
アプローチがあり、実際にそういうアプローチで取り組んでいる兄弟団体があるということで
元気が出てきた感じでした。

その後は、私は退席し、懇親会になったようなので、たぶん、懇親会では大いに盛り上がった
ことでしょう。

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