先月、2012年度に中期経営計画の策定を依頼された会社から、新中期経営計画が始まる2013年度のMBO(目標管理)の研修を実施してほしいと依頼があり、管理職向けと一般社員向けを実施しました。
MBOは「目標管理」と訳しますが、もともとはドラッカーが提唱したもので、自ら目標を設定して、モチベーションを上げて仕事に取り組もうという主旨のものです。世の中の多くの会社が取り組んでいます。
その会社は、MBO自体は、もう10年以上実施しているとのことでしたが、MBOシートの書き方ができていないからというのが直接の理由でした。
実施してみて気づいたことがいくつかありました。

1つは、過去、中期経営計画で掲げた戦略課題が、きちんとMBOに落とし込まれていなかったということです。
この会社の人たちが、これまで毎年MBOとして書いてきた項目は、新年度の予算達成関連項目や自分の業務に関することが多かったようです。このため、中期経営計画が新たに予算項目としてブレークダウンされていないと、誰も中期経営計画の戦略課題をMBOシートに書かない、ということになってしまうのです。
それを聞いて驚く人がいるかもしれませんが、私の知る限り、世の中の会社では割と多いようです。
どうしてそうなるかということですが、一つは、中期経営計画で掲げられている戦略課題が、通常業務と別なことが掲げられているからです。中計では、新たに取り組んでいかなければならない課題や、変えていかなければならない課題を掲げています。このため、この中計の戦略課題が、ブレークダウンされて、各部門の管理者および一般社員の年度の目標、つまりMBOにまで落ちてくるようになっていないと、そのまま棚上げされてしまうことになるということです。
中計は作ったけど、誰も実行しないというのは、笑い話のようなよくある話なのです。

2つ目は、仮に戦略課題がMBOに落とし込まれても、きちんと実行されるかどうか怪しい、ということです。先に述べたブレークダウンが仮に行われても、それは課題がブレークダウンされただけで、実行が担保されるわけではありません。実行されるには、きちんと具体的な実行計画に落とし込まれていかないといけないのですが、この実行計画に落とし込むのもまた一苦労なのです。新しい課題や改革課題ですから、ふだんの業務を行っている人たちにとっては、何か新しいことに取り組む、既存のやり方を変えるということですから、そられのことについて、誰がいつまでに何をどうするかを決めていかなければなりません。それがなかなかできないのです。
これら2つの問題点については、私は研修の中で、1つ目の問題点については、「課題のブレークダウンシート」を作成することと、2つ目の問題点については、「目標達成の方程式」というものを作らせることで対処しました。
この会社の新年度の取り組みが、これまでと違ったものになることを祈念しています。

因みに、今年度も、みずほ総研等の公開セミナーで、中期経営計画の作り方とともに、進捗管理・フォローについてもお話していく予定にしています。